相続と不動産~①相続税対策の重要性について
不動産を相続した場合どうすればいいのか、遺産の中に不動産があるが残された相続人同士で揉めないようにするには生前どのような対策がとれるのか、不動産の相続について数回に分けてお話ししたいと思います。
今回は、相続税対策の重要性について解説します。
|相続は手続きが大変
相続税の申告は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10ヶ月以内に行わなくてはなりません。考える時間や親族による話し合いなどの事を考えると、10ヶ月というのは短く、相続人にとって大変な負担となります。
少子高齢化社会のなかで、男女とも平均寿命が大幅に伸びており、認知症のリスクの中、親としてどのように子供へ財産を残すかは重要な問題です。
相続対策の主な目的は、①財産の継承 ②争族の防止 ③納税資金の確保 ④節税ですが、認知症のリスク、契約行為における能力の衰えの懸念を考えると、この目的達成のためには、早くからの終活が必要となってくると思われます。
|相続税を支払う相続人の割合が倍増
相続税のかかる人の割合は、2014年までは約4%前後で推移していましたが、2015年から8%前後に倍増しています。特に東京では地価が高く、16%の人に相続税がかかります。
2015年には基礎控除が40%も引き下げられる税制改正があり、法定相続人が妻と子供2人の場合、改正前は8000万円以上の相続財産がなければ相続税がかかりませんでしたが、改正後は4800万円以上あれば相続税がかかるようになりました。
改正前 基礎控除=5000万円 + 1000万円×法定相続人の数
改正後 基礎控除=3000万円 + 600万円×法定相続人の数
|相続税率が50%から55%に増税
2015年から各法定相続人の取得金額が6億円以上の場合、55%の相続税がかかるようになりました。各法定相続人の取得金額とは、遺産総額から基礎控除額を差し引いた残額を、法定相続分で相続したと仮定した相続人一人当たりの取得金額のことです。
ちなみに、配偶者は1億6千万円または法定相続分までは相続税が課税されません。
|相続登記の登記名義人名称と住所変更登記が義務化
2024年4月1日より、相続登記(相続を原因とする所有権移転登記)が義務化されます。相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から3年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければ10万円以下の過料が科されることになります。
これは、2024年の施行前に相続が発生した不動産においても義務となるという点に注意が必要です。施行前に発生していた相続については、施行日の2024年4月1日から3年以内の相続登記が義務とされ、正当な理由がないのにその申請を怠った場合は、同じく10万円以下の過料の対象となります。
|相続税の金額を正確に知る為には?
相続税の計算をする為にまずやる事は、不動産(土地、家屋など)の本当の適正価格を調べることです。これをしなければ『課税遺産総額の算出』が出来ずに、正確に不動産(土地、家屋など)の相続税を計算する事は出来ません。
土地や建物などの不動産の相続税評価額は、専門的な知識のない一般の方が算出するのは容易ではありません。特に土地の場合、形状や広さを考慮して相続税評価額を下げることができるため、うまく活用することで大きな節税効果も期待できます。
税理士に依頼をするのであれば、誰に依頼をしても同じだと思われがちですが、計算方法によって相続税評価額は大きく異なるため、土地の評価減の活用を得意としている税理士に依頼するかどうかで、相続税額に数千万円もの差が生じることもあるのです。
不動産の相続後に失敗するケースとして、不動産の適正価格を調べずに譲り受けて、後から「売れない…」、「使わずに放置状態でどうしよう…」と悩んでいる方が多くいます。
相続する前に『不動産の本当の価値』がわかれば、「すぐに売った方がいいのか?」、「贈与や相続を放棄をした方がいいのか?」など選択肢も一気に広がります。
思っているより高い値段がつけば、相続する前に売って現金化すれば相続税対策にもなります。
弊社では、熊本エリアにお住まいの方からのご相談はもちろん、全国からの不動産相続に関するご相談に対応しております。そもそも、何を相談したらいいかもわからないという方も、是非お気軽にご相談ください。