告知義務とは?
以前、【不動産売却理由はどこまで伝えるべき?】の記事の中で、心理的瑕疵について少しお話ししましたが、今回は心理的瑕疵も含めた「告知義務」についてご説明したいと思います。
不動産を取引するときには、建物や土地の状態などを買主へきちんと伝えなくてはいけません。その中で、不動産の瑕疵と呼ばれる欠陥や不具合で、必ず買主に伝えなくてはいけないものは4種類あります。
|4つの瑕疵とは?
◆物理的瑕疵
不動産の目に見える重大な欠陥を指します。
建物で言いますと、雨漏りや水漏れ、シロアリ被害、構造上の欠陥、給排水管等設備の故障等。
土地で言いますと、地盤沈下やゴミや廃棄物の埋設物、土壌汚染等が物理的瑕疵にあたります。
◆環境的瑕疵
周辺に嫌悪感を抱くような施設や環境がある場合の瑕疵を指します。
暴力団施設や火葬場、墓地、ゴミ処理施設等が近くにある、騒音や悪臭などが発生する工場がある、高速道路や鉄道などの音や振動といったものが環境的瑕疵に該当する事象です。
内容によっては、心理的瑕疵になる場合もあります。
◆心理的瑕疵
買主や借主がその事実を知ることで、心理的な抵抗を感じる恐れのあるものをいいます。
前に住んでいた方の自殺や他殺、事故死、孤独死などといった人の死に係るもの。マンションの棟内や物件の周辺での事件や事故。その他にも近くにお墓がある、騒音や悪臭、迷惑な行為をする住民がいるなど様々です。
◆法的瑕疵
建築基準法や都市計画法などで、不動産の使用や建築が制限されているものを指します。
構造上の安全性や容積率、建ぺい率などが基準を違反している、防災設備の設置義務違反などがあたります。
不動産にこのような瑕疵がある場合は、買主へ必ず告知しなくてはいけません。
また、4つの中でとくにトラブルになりやすいのは「心理的瑕疵」です。
心理的な瑕疵は目には見えないうえ、人によって気になる・気にならないの基準に差があるり、告知義務にあたるかどうかの明確な線引きが難しいというのが実際の状況です。
|心理的瑕疵の告知義務に当たるものとは?
では、どのような内容が心理的瑕疵の告知義務にあたるのでしょうか。
過去の判例から見ていくと、自殺、殺人事件、不審死、変死、焼死などに加え、隣の部屋で事故が起こった場合も告知義務にあたる事象と考えられます。
病死や自然死等の事件性がないもの、マンションの飛び降り自殺は心理的瑕疵に該当しないとして告知義務に当たらないと考えられます。
そうした中、国では心理的瑕疵に対する告知義務の基準について、ガイドラインの策定に取り組み始めました。2021年5月に発表された「心理的瑕疵ガイドライン案」では、「他殺や自死・事故死、その他原因が明らかでない死亡」は告知事項の範囲とし、「自然死又は日常生活の中での不慮の死」については告げる必要はないと明記されています。ただし、長期間にわたって放置されたことで特殊清掃が必要となるような状況の場合は告知範囲とするとしています。
|違反したらどうなるの
この告知義務を怠った場合は、民法における契約不適合責任を問われることになります。売主は買主から物件の瑕疵に対する追完(補修)請求、代金減額請求、契約解除、損害賠償のいずれかを請求される恐れがあります。
瑕疵がある不動産の売却では、まずは仲介を依頼する不動産会社へ物件の状態や瑕疵について伝えましょう。
そうすれば不動産会社は物件のそのような条件・状態を踏まえたうえで、購入希望者を探してくれます。
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