リースバックとは?メリットや注意点を解説
不動産売却時に活用できる「リースバック」という方法をご存じでしょうか。
リースバックは、住宅ローンの返済が難しかったり、まとまった資金を調達したかったりするときに有効な手段の1つです。
今回は、これから不動産売却を検討している人に向けて、リースバックの仕組みとメリットやデメリット、注意点についてご説明したいと思います。
|リースバックの仕組みとは?
リースバックとは、「セール&リースバック」と呼ばれることもあり、自宅を不動産会社などに売却した後に賃貸借契約を結び、売却後も同じ家に住み続けられるようにする仕組みのことです。まとまった資金が一括で入手でき、売却後ももとの住まいを借りて住み続けることができます。
自宅を活用することからリバースモーゲージと混同しやすいですが、リバースモーゲージは自宅を担保にして資金を借り入れるもので、所有権を喪失しないという点で大きく違います。
|リースバックのメリットとは?
リースバックのメリットは大きく分けて3つあります。
1、早期にまとまった資金を得られる
家を売却する場合、売主を探して決済するまでに数か月かかるのが一般的ですが、リースバックの場合は専門の不動業者が引き取るため、決済までの期間を短縮できます。
2、維持費がかからなくなる
売却して所有権が移るため、固定資産税といった税金や修繕費などの家を保有することで発生する維持費の支払いは必要ありません。それプラス、災害などで建物が倒壊・破損したり、不動産価格の下落や、金利の上昇などいつ起こるかわからないリスクの負担がなくなります。
3、売却後も自宅に住み続けられる
同じ家に住み続けられるため、引っ越し費がかかりません。不動産会社に売却するので、市場に物件情報が出ることもなく、ご近所さんに内情を知られることもありません。
また契約時に買い戻し特約を付けることで、将来的に買い戻すことも可能です。
|リースバックのデメリットとは?
リースバックのデメリットも大きく分けて3つあります。
1、売却価格が相場より安くなりやすいとい
不動産会社が価格査定をおこなう際に、利回りを考慮して物件価格を算出するため、物件価格が安くなる傾向にあります。
また同じ理由で賃貸料金も高くなることがあるので注意が必要です。
2、賃貸契約が終了して住み続けられない場合がある
売却した家に住み続けるためには売主と賃貸借契約を結ぶことになりますが、リースバックの場合は、更新を前提としない期間限定の「定期賃貸借契約」という契約を結ぶ場合があります。
長く住み続けたい場合は、期間の決まっていない普通賃貸借契約を結べるか、あらかじめ確認をしましょう。
3、所有権がないためリフォームができない
「長年住み続けて水回りが老朽化したため変えたい」などの要望があったとしても、所有物ではないため勝手にリフォームはできません。リフォームやリノベーションを行う際には所有者の許可を取る必要があります。
|トラブル事例
メリットの多いリースバックですが、トラブルがゼロではありません。リースバックを活用した売却でよくあるトラブルの事例をご紹介します。
・リースバック後の賃料が高く、支払いの継続が困難になった
・賃貸借契約の更新を拒否され、退去することになった
・賃料を値上げされた
前述のとおり、賃貸住宅の賃料は、建物を所有するオーナーがさまざまな住まい方のルールと併せて決めることができます。こうしたリースバック後のトラブルを未然に防ぐためには、売却前にリースバックの条件や契約内容を細かく確認・交渉しましょう。
また、事前相談の段階から、買主である事業者の対応を通して、信頼できるかどうかを見極めることが、リースバックで不動産の売却を成功させる重要なポイントになりますよ。
自宅を活用した資金調達であるリースバック。
自宅に住み続けながら、まとまった資金を得られるなどのメリットがある一方で、売却価格が相場より低くなるなどデメリットもあります。
メリットとデメリットをしっかり把握し、自分にとって有益な手段であるか判断してください。