相続した不動産がかなり古い木造家屋・遠方の土地など、売却が難しいとされる不動産であることは珍しくありません。この記事では、そんな「売れない」「使い道がない」と考えていた不動産を、どのように売却・活用したのか、3つの実例を交えてご紹介します。
不動産のプロが教える、スムーズな売却の秘訣がわかる記事になっています。ぜひ最後までお読みください。
今回ご紹介する売れにくい不動産の売却や活用に成功した事例は以下のとおりです。
- 古くて価値がない、相続して長らく放置していた空き家の売却事例
- 自分では使わない日本家屋を、優良な古民家として売却成功した事例
- 相続した土地を、駐車場として再生活用した事例
いずれの事例も不動産を相続した人にとって、参考になる事例です。ぜひ最後までお読みください。
なお、個人や不動産の特定を避けるため、事例の内容すべてを開示していません。
1.熊本市にお住まいのA様が、「売れにくい古い実家を、最小限の手間で売却した」事例
不動産を相続した人にとっては、不動産の価値があるかどうかは非常に興味深いポイントです。しかし、ほとんどのケースでは「古くて価値がないから」として売却をあきらめている人も多いのではないでしょうか。
今回ご紹介するA様の事例では、建物が古いときの不動産売却のヒントが含まれています。
お客様の相談内容
A様が相続した不動産の概要とプロフィールは以下のとおりです。
売却物件 概要
A様が売却したい不動産の概要は以下のとおりです。
所在地 | 熊本市西区池田 | 種別 | 土地(更地) |
---|---|---|---|
建物面積 | - | 土地面積 | 170.㎡ |
築年数 | - | 成約価格 | 900万円 |
間取り | 地目 | 宅地 |
相談にいらしたお客様のプロフィール
大阪府にお住まいの50代の方です。数年前にお母様を亡くされ、熊本市西区池田のご実家を相続されました。築年数がかなり経過しており、リフォームが必要な状態です。熊本市に戻る予定もないため、空き家として放置していますが、不動産としての価値が低いのではないかと、売却を躊躇されています。
解決したいトラブル・課題
A様が解決すべき課題は、不動産の売却を実現することにあります。
しかし、築年数が古い家は評価がつかないほか、リフォームするには莫大な費用がかかり、さらにはリフォームても回収できるかどうかわからないため、どのような方法で売却するかがポイントです。
相談する不動産会社の探し方・選び方
築年数が古い不動産の売却を相談する不動産会社に求めたい条件は以下のようなものです。
・築年数の古い物件の売却実績が豊富であること | 過去に同様の物件を多数取り扱った実績がある会社は、売却のノウハウが豊富で、市場の動向を熟知しています。類似する事案から最適な方法を教えてくれる可能性が高いため、実績から選ぶことが重要です。 |
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・さまざまな選択肢を提示してくれること | 売却にはさまざまな方法や手段があるため、数ある選択肢のなかから自分の状況や希望に合った方法を選べることも重要です。 |
・エリアに精通していること | 不動産の相場や地域事情はエリアごとに異なります。そのため、不動産のあるエリアに精通していないと売却で損をすることもあるでしょう。 |
A様の「トラブル・課題」の解決方法
A様が相続した築年数の経過した実家およびその土地が持つ価値を、最大限に発揮させる提案がA様の課題解決のカギです。
1.古い実家を売る方法
築年数が経過した家を売るためには、以下のような方法が考えられます。
・現状有姿のまま売却する |
築年数が古くとも、今の状態でそのまま売却する方法です。 単純な方法で手間も費用もかからない点がメリットです。しかし買主からすれば建物に手を加える必要があるため、売却価格が安くせざるを得ない点がデメリットです。 |
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・リフォームやリノベーションを施して売却する |
古い家を部分的にリフォームやリノベーションを施してから売却する方法もあります。 建物の価値が向上し売却価格が大幅にアップする可能性を秘めていますが、一時的な費用の拠出が必要であることと、建物の状態によってはリノベーションが難しい場合もあります。 |
・建物を解体して売却する |
建物を解体して更地にして売却する方法も有効です。 土地は更地の状態が最も評価が高いため、建物があるときよりも更地の方が高額で取引できるからです。解体に費用はかかりますが、買主が見つかってから解体をし、受け取った売却代金で解体費用を支払うこともできるため、費用面で融通が利きやすいこともメリットです。 |
2.「結果」
A様は現況での売却・リノベーションしての売却・更地での売却と複数のシミュレーションを踏まえ、結果的に最も費用対効果の高かった更地での売却を選択しました。
幸い、西区池田のなかでも駅に近いエリアであったこともあり、すぐに購入希望者が現れました。解体時期についても購入希望者との折り合いがつき、A様は費用を立て替えることなく売却が実現し喜ばれています。
2.熊本市にお住まいのD様が、「古い実家を『価値ある古民家』として売却した」事例
次にご紹介するのは、趣のある日本家屋を売却したD様の事例です。
お客様の相談内容
D様が売却したい不動産の概要とプロフィールは以下のとおりです。
売却物件 概要
売却したい不動産の概要は以下のとおりです。
所在地 | 熊本南区川尻 | 種別 | 一戸建て |
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建物面積 | 95㎡ | 土地面積 | 125㎡ |
築年数 | 70年 | 成約価格 | 950万円 |
間取り | 6DK | - | - |
相談にいらしたお客様のプロフィール
相談者は、熊本市南区川尻に、お父様の思い出が詰まった昔ながらの趣のある一戸建てを相続された50代のお客様です。現在は熊本市内にアパートでお住まいですが、この貴重な建物をどうにか活かしたいと、悩ませています。建物の持つ歴史的な価値を大切にできる方に見つけてもらいたいと願っています。
解決したいトラブル・課題
D様の最大の課題は、古い家としてではなく価値のある日本家屋として評価することと、その価値をわかる人にD様の想いを引き継いでもらうことにあります。
相談する不動産会社の探し方・選び方
D様の課題を解決できる不動産会社の特徴は以下のようなものです。
・建築基準法や都市計画法に強い不動産会社 | 古い家屋では現行法の規定にそぐわないことが考えられます。そのため、法的な観点から適切な見解を見出し、問題点を購入希望者に伝える必要があります。 |
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・建築に造詣のある不動産会社 | 古い家屋として見てしまうとその建築価値を見誤ることがあります。そのため、意匠造作に秘められた建築的価値を適切に売却価格に反映することが求められます。 |
・ネットワークが豊富な不動産会社 | 日本家屋や古民家は、住宅としてのみならず古民家カフェ・別荘としての目的として購入するケースが見受けられます。そのため、地域への情報提供はもちろん、全国的に広く募集活動ができる情報網が欠かせません。 |
G様の「トラブル・課題」の解決方法
G様の課題を解決するためには、共有という制度を理解することが重要です。そして、不動産の共有持分を処分する方法を具体的に提示することが求められます。
1.古民家売却のポイント
古民家の売却では、通常の戸建てを売却するのとは異なり、注意すべきポイントが存在しています。ここでは、古民家売却を成功させるために必要なポイントを解説します。
・誰が購入を希望するかを把握する | 古民家は住宅以外の用途で取引される可能性を秘めています。そのため、エリア・建物の状況・間取りなどから、どのような人に購入可能性があるかを見極め、訴求することが売却成功の秘訣です。 |
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・法規制を確認する | 古民家カフェや民泊などに利用されることが多い古民家ですが、地域によっては営業自体ができなかったり、営業に制限がかかったりすることがあります。用途地域や自治体の条例などを確認しておくことが求められます。 |
・さまざまなシミュレーションを行う | 古民家や日本家屋を建物がある状態で売却しようとすると、一定程度のリフォームが必要になることがあります。そのため、投資対効果や必要性を熟考して売却方法を選択することが重要です。売却方法の選択肢については1つ前の事例を参照ください。 |
2.結果
不動産会社によるプロモーションの甲斐もあり、住宅兼古民家カフェとしてセカンドライフを楽しみたいご夫婦への売却がかないました。今では、D様自身がお客様としてカフェで多くの時間を過ごされているとのことです。
3.大津町にお住まいのK様が、「相続した熊本市の土地を、駐車場にして活用した事例」
最後にご紹介するのは、相続した土地の利活用に成功したK様の事例です。
お客様の相談内容
K様が相続した不動産の概要とプロフィールは以下のとおりです。
売却物件 概要
相続する不動産の概要は以下のとおりです。
所在地 | 熊本市中央区黒髪 | 種別 | 土地(更地) |
---|---|---|---|
建物面積 | 120~125㎡ | 土地面積 | 130㎡ |
築年数 | - | 査定価格 | 800万円 |
間取り | - | - | - |
相談にいらしたお客様のプロフィール
大津町にお住まいの40代のお客様です。お父様を偲び、土地を売却せずに、別の方法で活用したいと考えています。しかし、維持管理や費用面で悩んでおり、より良い活用方法を探求中です。
解決したいトラブル・課題
K様の課題は、少ない負担で再現性の高い事業計画を立案することで解決することが可能です。
相談する不動産会社の探し方・選び方
K様のご要望をかなえることができる不動産会社の特徴は以下のようなものです。
・賃貸、売買、管理など多様なサービス提供が可能な不動産会社 | 土地の利活用では、売買のみならず、賃貸仲介や賃貸管理について造詣があることが必要です。また、ワンストップで対応できる不動産会社であれば、再現性も高くなることが期待できます。 |
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・法律や税金に詳しい不動産会社 | 賃貸経営には法律と税金の問題がつきものです。そのため、関係法律(借地借家法・宅建業法)はもちろんのこと、税金についてのアドバイスができる不動産会社がよいでしょう。 |
・土地活用の実績とネットワークが豊富な不動産会社 | 土地活用は一朝一夕で提案できるものではありません。そのため、経験と実績は必ず押さえておきたいところです。また、土地活用では建築・土木も関連してくるため、関係業種との連携も欠かすことはできません。 |
K様の「トラブル・課題」の解決方法
K様の要望をかなえるためには、賃貸転用することで解決することができます。
1.空き家の土地活用方法
空き家を賃貸活用する方法にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、空き家や空き地の活用方法を紹介します。
・空き家を「住宅」として貸し出す | 空き家にリフォームやリノベーションを施し、住宅として貸し出す方法です。初期費用がかかる点がデメリットですが、戸建て賃貸は希少性が高いため入居者を募りやすいメリットがあります。DIY賃貸として費用をかけずに借主の好きなようにリフォームできる契約形態もあります。 |
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・空き家を解体して「月極駐車場」として貸し出す | 空き家のリフォームやリノベーションには多額の費用がかかるため、解体して更地にしてから駐車場として貸し出す人も少なくありません。駐車場ではトラブルも少ないため、維持管理の手間や費用面を気にする人にはおススメの運用方法です。立地によっては月極駐車場ではなく時間貸駐車場にするのもよいでしょう。 |
・空き家を解体して「土地」として貸し出す | 「土地」として貸し出す方法も有効です。狭くとも小型店舗やトランクルーム用地として活用したいと考える事業者は意外と多いもの。このケースではほとんど手間がかからない点がメリットですが、長期契約になるため、土地を自分で利用したりすぐに売却したりすることが困難なことがデメリットです。 |
・空き家を解体して、アパートやマンションを建築して貸し出す | 集合住宅を建築し賃貸経営することも可能です。事業継続性の観点から慎重な判断は欠かせませんが、相続地のエリア特性などから賃貸経営に踏み出す人は一定数いらっしゃいます。 |
2.結果
K様は、さまざまな活用方法を検討した結果、月極駐車場として土地を活用することにしました。中央区黒髪エリアは大学があるほかは実需の戸建てで形成されたエリアであるため、地域の駐車場ニーズがあると判断したからです。
地域のニーズに応えつつ相続した土地の利活用をかなえることができたK様、今では駐車場契約を通じて地元の方々との交流が復活したと喜ばれています。