【熊本市編】生前対策をして不動産売却を行った事例

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【熊本市編】生前対策をして不動産売却を行った事例

「相続」はときとして「争続」とも称され、親族間の争いの火種になることがあります。
争続になる一番の原因は、遺産分割協議が整わないことにほかなりません。

せっかくの遺産をうまく分割し、良い相続とするためには、生前からの準備が重要だと考えられます。まさに「終活」という言葉がその準備を表しており、法務省がエンディングノートを軸に相続について解説するなど、国も相続をスムーズに行うことを推奨しています。

今回は、熊本市内で生前対策をして不動産の売却を行った事例を3つ紹介します。いずれのケースも争続にしないために役立つ事例ですので、ぜひ参考にされてください。

なお、事例は個人や不動産の特定を避けるため、必要最低限の開示としています。

相続でトラブルにならないためには、生前の対策が重要です。
対策といってもさまざまな方策が存在していますので、事例のなかから自分にあった対策を見つけ、来るべき相続に備え終活を進めるのがよいでしょう。

1.兵庫県にお住まいのO様が、「親が生前対策をしていた為、兄弟間で争うことなく熊本市で相続した事例」

1.兵庫県にお住まいのO様が、「親が生前対策をしていた為、兄弟間で争うことなく熊本市で相続した事例」

最初に紹介するのは、他県にお住まいのO様が遺言書に基づいて相続を行った事例です。

お客様の相談内容

O様が相続した不動産の概要とプロフィールは以下のとおりです。

売却物件 概要

O様が売却したい不動産の概要は以下のとおりです。

所在地 熊本市西区田崎 種別 マンション
専有面積 65m² 土地面積 -
築年数 37年 成約価格 900万円
間取り 2LDK 地目 -
相談にいらしたお客様のプロフィール

兵庫県にお住まいのO様(50代)は、熊本市にマンションを所有されていたお母様の相続手続きのお手伝いをしてきました。お母様は、ご自身の死後、相続人であるO様をはじめとするご家族間で争いが起こらないよう、遺言書の作成などを踏まえた綿密な相続対策を検討されています。

解決したいトラブル・課題

O様の希望は、生前からお母様の「家族間で相続問題のトラブルになってほしくない」という言葉を実現することにあります。お母様の希望を叶えることは自分のことよりも大切な課題であるため、お母様の希望をどのように形に残し実現するか、が鍵になりそうです。

相談する不動産会社の探し方・選び方

O様が相続をスムーズに進めるにあたって、以下のようなポイントを重視して不動産会社を選びました。

・長く付き合ってくれる不動産会社 不動産会社はとかく目先の売上を注視しがちです。
そのため、相続問題が解決すれば、という停止条件がついた案件には取り合ってくれない不動産会社も珍しくありません。
自分のことのように寄り添ってくれる不動産会社は、まさに信頼できるパートナーといえるでしょう。
・相続問題に造詣がある不動産会社 当たり前のことですが、相続問題は専門性が高いほか、法的な知識も求められます。
そのため、過去に解決実績がある不動産会社や、士業との連携がスムーズな不動産会社を選ぶことも外せない条件といえそうです。
・販売力のある不動産会社 どのような不動産も売却が実現しなければ意味がありません。
媒介契約ほしさに高い価格を提示するような不動産会社では売却という成果は到底見込めません。根拠のある査定力と販売網の両方を兼ね備えた不動産会社を選びましょう。

O様の「トラブル・課題」の解決方法

遺言書を作成することが最適と判断したO様とお母様は、その日から遺言書の作成に取り掛かりました。しかし、金融資産は分割できますが、不動産は分割することができません。そのため、不動産会社の協力も仰ぎながら、売却した利益と経費を兄弟で按分することも盛り込みました。

1.遺言書の種類

遺言書にはいくつかの種類があります。種類ごとにルールが定められていますので、ここで確認しておきましょう。

  • 自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、ご自身がすべて手書きで作成する遺言書です。費用をかけずに比較的簡単に作成できる一方で、厳格な法律の定める形式を満たす必要があります。具体的には、遺言の内容、作成日、氏名を全て自筆で書き、押印することが必須です。

  • 公正証書遺言

公正証書遺言は、公証人が作成する遺言書です。自分で手書きする自筆証書遺言と異なり、公証人という専門家が作成するため、法的な有効性がきわめて高いという特徴があります。

自筆証書遺言と内容を比較すると、以下のようにまとめることができます。

  自筆証書遺言 公正証書遺言
誰が作成するか? 遺言者が自ら作成 公証人が作成
口頭での聞き取りも可能
費用 無料 有料
形式 厳格な形式が求められる 形式的な問題はない
保管場所 自宅
法務局
公証人役場
検認 原則必要 原則不要
  • 秘密証書遺言

秘密証書遺言は、遺言の内容を秘密にしたまま、その存在を公証人に証明してもらう遺言書です。

メリットは、遺言内容を家族などに知られずに済むこと、身体的なハンディキャップがあっても作成できることです。しかし、デメリットとして、利用者が少なく、専門家のサポートが必要な場合があること、紛失のリスクがある点が挙げられます。

作成方法は、遺言書を作成し封筒に入れて公証役場に持ち込み、公証人にその存在を証明してもらうという流れです。遺言書には一定の形式が求められるほか、証人や手数料が必要になる点は注意しましょう。

秘密証書遺言は、遺言内容の秘密性を重視する方にとっては魅力的な選択肢といえそうです。

O様とお母様は、これらの遺言書の中から「自筆証書遺言書」を選ぶことにしました。

2.「自筆証書遺言書保管制度」とは

自筆証書遺言書は、形式こそ厳格に求められるものの、無料で気軽に作成できる点がメリットです。しかし、万が一保管した場所を忘れてしまったり、保管したであろう場所に遺言書がなかったりしたときのことを考えると、お母様は不安を覚えたのでした。

そこで自筆証書遺言書について調べてみると「自筆証書遺言書保管制度」というものがあることを知ります。令和2年7月10日からは、法務局に保管することで、検認手続きが不要になる自筆証書遺言書保管制度が利用できるようになりました。

この制度を活用すれば、保管場所を忘れることもありません。検認手続き(家庭裁判所によって遺言書が有効かどうかを判定する手続き)も不要であるため、相続人である子どもたちに手間をかけることもないとして、この制度を利用することに決めました。
出典:法務省 「自筆証書遺言書保管制度」

3.「結果」

O様のお母様は昨年ご兄弟に看取られながらその最期を迎えられました。O様とご兄弟は遺言書どおりに金融資産を分割。マンションについては依頼した不動産会社によって無事売却が完了し、売却益と経費を按分して、すべての相続が一切のトラブルもなく無事完了しました。

2.熊本市にお住まいのU様が、「リースバックを利用し、生前対策をした事例」

2.熊本市にお住まいのU様が、「リースバックを利用し、生前対策をした事例」

次に紹介するのは、リースバックを活用して不動産を生前に売却することで、不動産を残さないという選択をしたU様の事例です。

お客様の相談内容

U様が売却したい不動産の概要とプロフィールは以下のとおりです。

売却物件 概要

売却したい不動産の概要は以下のとおりです。

所在地 熊本市北区高平 種別 一戸建て
建物面積 95m² 土地面積 200m²
築年数 51年 成約価格 600万円
間取り 5DK その他
相談にいらしたお客様のプロフィール

U様(70代)は、熊本市の一戸建てにお住まいですが、ご子息が遠方に住んでいるため、将来的に不動産を相続させることに対して不安を感じています。相続が発生した場合、ご子息たちの生活に影響が出ることを避けたいと考えており、不動産の処分や住み替えを検討されています。

解決したいトラブル・課題

U様が生前に解決しておきたいことは、不動産を現金化させておくことです。幸い、遠方に住んでいる二人の息子たちはU様の今のお住まいについて良くも悪しくも興味がないようでしたので、売却には賛成してくれました。しかし、住み慣れた我が家を高齢になってから離れることに抵抗があるため、どうしたものかと頭を悩ませています。

相談する不動産会社の探し方・選び方

困り果てたU様は不動産会社へ相談することにしました。U様が不動産会社を選ぶ決め手になったのは以下の点だそうです。

・売買のみならず賃貸や賃貸管理にも造詣がある不動産会社であること 売買を専門にしている不動産会社は少なくありません。しかし、不動産の活用方法は売買に限らず、賃貸なども選択肢として見るべきです。その点から、提案の選択幅が多い総合的な不動産業を営んでいる不動産会社を選ぶことにしました。
・自社の利益を最優先しない不動産会社であること 不動産会社のなかには、自社の利益のみを最優先する提案しかしない会社が存在しています。このような不動産会社では買いたたきや売り急ぎが発生してしまうため、売却検討者にとってなにも良いことが起こらない可能性が高いといえるでしょう。

U様の「トラブル・課題」の解決方法

U様の希望は、生前の不動産処分と住み慣れた我が家を離れたくないことです。これらを解決する手段として「リースバック」という方法があることを不動産会社から提案されたU様は、その内容や制度を納得いくまで説明してもらい、息子たちの了解も得たうえで、リースバックを選択しました。

1.リースバックとは

リースバックとは、自分の不動産を売却し、その不動産を再び自分自身で借りる不動産取引のことです。

リースバックは、まとまった資金が必要なときや、住み慣れた場所で引き続き暮らしたいときに有効な手段ですが、メリットだけでなくデメリットも理解したうえで、慎重に検討することが大切です。

これより、リースバックのメリットとデメリットについて解説を進めます。

2.リースバックのメリットとデメリット

リースバックのメリットとデメリットを以下のようにまとめました。

  メリット デメリット
資金 一度にまとまったお金が手に入るので、老後資金や大きな買い物など、自由に使える資金を確保できます。 売却価格が、一般的に不動産を売却する場合よりも低くなる可能性があります。
住まい 今まで住んでいた家に、引き続き住み続けることができるので、環境を変えることなく生活できます。 家を所有していた状態から、借りる立場に変わるため、将来的な住まいに関する不安が残る可能性があります。
費用 固定資産税や修繕費などの負担が減り、経済的な負担が軽くなります。 毎月の家賃が発生します。

上記のほか、賃貸借契約の内容についても細かく確認しておくことが重要です。長く持ち家に住んでいた人にとっては、賃貸借契約でどのようなポイントに注意すべきなのかがわからないことが多いため、かならず確認しておきましょう。

なお、よくトラブルになるポイントは以下のようなところです。

・家賃の支払いについて 家賃の金額だけでなく、更新時の賃料改定の有無や、改定幅についても確認しておきましょう。また、インフレや不動産価格の上昇に伴い、将来的な家賃負担が増える可能性も考慮しておくことが重要です。
・契約期間について 契約期間が短い場合、再び契約更新をする必要があり、将来の住居が不安定になる可能性があります。また、契約期間中に解約するときに違約金などのペナルティが発生することもあるため、契約期間はチェックが必要な項目です。
・原状回復について 契約終了時に、物件を元の状態に戻す(原状回復)義務があるかどうかを確認しておきましょう。なお、原状回復義務があるとしても、国土交通省のガイドラインにより厳格に定められているため、ガイドラインも合わせて確認しておくと安心です。
参考:国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドラインについて」
・入居中の修繕義務について 賃貸中に物件が破損したとき、誰がどの部分の修繕費用を負担するのか、契約書へ明記されているかどうかも合わせて確認しておきましょう。

リースバックは契約が複雑であるほか、トラブルになることも少なくありません。そのため、国土交通省が定めるリースバックのガイドブックも参考にするとよいでしょう。
参考:国土交通省 「住宅のリースバックに関するガイドブック」

3. 結果

U様は不動産会社の手引きにより、無事ご自宅をリースバックし、現在も熊本に住まわれています。なお、不動産会社が紹介してくれた買主は北区高平で土地を探していた知り合いの建設会社でした。そのため、売却価格は少し安くなってしまいましたが、賃料も安価に設定してもらい、長く住めるような配慮を感じることができ、U様は満足されているとのことです。

3.熊本市にお住まいのW様が、「不動産を売却し、売却益を孫に生前贈与した事例」

3.熊本市にお住まいのW様が、「不動産を売却し、売却益を孫に生前贈与した事例」

最後に紹介する事例は、生前に不動産を売却し、売却した得た利益を孫に生前贈与した事例です。

お客様の相談内容

W様が相続した不動産の概要とプロフィールは以下のとおりです。

売却物件 概要

相続する不動産の概要は以下のとおりです。

所在地 熊本市北区室園町 種別 一戸建て
建物面積 125m² 土地面積 165m²
築年数 47年 成約価格 600万円
間取り 6DK その他 -
相談にいらしたお客様のプロフィール

熊本市にお住まいのW様は、来年大学に進学するお孫様の未来のために、ご自身の住まわれている一戸建てを売却し、その売却益を学費に充てたいと願っておられます。

W様は、お孫様の将来を第一に考え、この決断をされました。しかし、税金のことなどはよくわからないほか不動産の売却も初めてだったので、不動産会社選びから始める必要がありました。

解決したいトラブル・課題

W様がなすべきことは2点。1つは生前に不動産を売却させること。もう1つは売却で得た利益を合法的に孫に贈与することです。

相談する不動産会社の探し方・選び方

W様のご要望をかなえることができる不動産会社の特徴は以下のようなものです。

・法的なアプローチに強みがある不動産会社 W様のように、法的な見解が求められる不動産売却では、法的な知識と経験が欠かせません。必要に応じて士業との連携も求められるほか、税制は毎年変更になることが通例であるため、知識のアップデートを全社的に行っている不動産会社でないと対応はそもそも困難でしょう。
・地域に根差した不動産会社 W様のケースでは、お孫さんの大学入学までに現金化する必要があるため、スピード感のある対応が求められます。地域の不動産市場に詳しく、販売力がある不動産会社でないと、成約に間に合わない可能性があります。

これらのポイントを踏まえ、W様はある不動産会社と二人三脚で売却を進めることにしました。

W様の「トラブル・課題」の解決方法

W様は不動産を売却し、お孫さんへ売却益を生前贈与し、教育資金に充てる方向で話を進めることにしました。不動産会社によれば、生前贈与という形でお孫さんへ教育資金を贈与することは問題ないとの見解に至りました。

1.「生前贈与」とは?

生前贈与とは、生きているうちに自分の財産を他人に無償で渡すことです。相続は人が亡くなってから財産が渡りますが、生前贈与は生きているうちに行う点が異なります。主な目的は、相続税の節税や、生前にお金を必要としている人に渡すなどです。

2.「教育資金の一括贈与」

教育資金贈与の非課税制度とは、祖父母や父母などから孫や子どもに教育資金を贈与する場合、一定の条件を満たせば贈与税がかからないという制度です。

教育資金の一括贈与について、以下のようにまとめました。

もらう人の条件 30歳未満であること
お金のつかいみち 教育資金として利用すること
あげる人の条件 祖父母や父母など、直系尊属であること
必要な手続き 教育資金非課税申告書を提出すること
非課税の限度額 1,500万円までが非課税

出典:税務署 「祖父母などから教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度のあらまし」

3.結果

W様は無事不動産を売却することができ、教育資金としてお孫さんに生前贈与をすることができました。幸いなことに、W様のご自宅があった北区室園町は、住宅展示場が立ち並ぶ住宅街に位置していたため、住宅建築会社からの引き合いが殺到したそうです。

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